図面のバカ穴・ざぐり指示の書き方|キリ・ドリル・座グリ記号の使い分け

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結論:バカ穴は等級とはめあいの意図を、ざぐりは深さと用途を明確にして指示する

ボルトを通すための「バカ穴(通し穴)」と「ざぐり(座ぐり)」は、図面上で意図が曖昧になりやすい指示の代表例です。バカ穴は穴径の等級(JIS B 1001に定められる1級〜3級程度の区分)によってボルトとのすき間量が変わり、組立性や位置決め精度に直結します。ざぐりは「深ざぐり(六角穴付きボルトの頭を沈める)」と「浅ざぐり(座面を平らに出す)」で目的がまったく異なります。

図面には、穴径・加工方法(キリ/ドリル)・ざぐりの種類と深さを、誰が見ても迷わないように明記することが重要です。この記事では、バカ穴とざぐりの図面指示の基本的な考え方を整理します。具体的な等級ごとのすきま量やざぐり記号の正確な寸法は、必ずJIS B 1001・JIS B 0122の規格原文で確認してください。

バカ穴(ボルト用通し穴)とは

バカ穴とは、ボルトを通すための穴で、ボルトのねじ部と干渉しないよう、ボルトの呼び径よりも一回り大きく開けた穴のことです。「バカ穴」は現場での通称で、正式には「ボルト用穴」「通し穴」などと呼ばれます。ねじが切られていない点が、タップ加工されるめねじ穴との大きな違いです。

バカ穴の径は、JIS B 1001で「1級」「2級」「3級」といった等級区分が定められており、等級によってボルト呼び径に対するすきま量が異なります。等級が細かいほどすきまが小さく、位置決め精度は高くなりますが、その分、部品同士の穴位置の加工誤差が許容されにくくなり、組立が難しくなる場合があります。逆にすきまが大きい等級は組立性に余裕が生まれますが、ボルトのガタつきや位置ずれが大きくなります。

どの等級を選ぶかは、以下のような観点で判断します。

  • 複数部品を重ねて組み立てる箇所:穴位置の累積公差を吸収できるよう、ある程度すきまを持たせた等級を選ぶ
  • 位置決め精度が求められる箇所:すきまの小さい等級を選び、必要であればノックピンなど別の位置決め手段と併用する
  • 量産品・汎用部品:コストや加工のしやすさとのバランスで、標準的な等級を採用する

等級ごとの具体的な穴径すきま量の数値は製品や規格改訂によって変わり得るため、本記事では数値の記載を避けています。設計時は必ずJIS B 1001の最新版を参照し、社内標準がある場合はそちらを優先してください。

「キリ」「ドリル」の図面表記の意味

図面上でよく見る「9キリ」「φ9ドリル」といった表記は、いずれも「ドリル加工でφ9の穴をあける」という指示です。「キリ」は「錐(きり)」に由来する現場用語で、ドリル加工そのものを指します。「9キリ」と「φ9ドリル」は基本的に同じ意味ですが、社内や取引先によって表記ルールが異なる場合があるため、図面作成時はどちらかに統一し、注記や表題欄でルールを明示しておくと誤解を防げます。

なお、「キリ」表記は公差が明示されないことが多く、一般公差(普通公差)が適用される前提の指示です。はめあいや位置決め精度が必要な穴には、「キリ」だけでなく、必要に応じて公差記入や等級指定を追加しましょう。

ざぐり(座ぐり)の種類と使い分け

ざぐりとは、ボルト穴の周囲を円形に一段掘り下げる加工のことです。目的によって主に2種類に分けられます。

深ざぐり(六角穴付きボルト用)

六角穴付きボルト(キャップボルト)やなべ小ねじなど、頭部を部品表面より下に沈めたい場合に用いるのが深ざぐりです。ボルトの頭部が部品表面から突き出さないようにすることで、他部品との干渉を避けたり、外観をすっきりさせたりする目的で使われます。ざぐりの深さは「ボルト頭部が沈み込む、または面一(つらいち)になる」ことを基準に設定し、ボルト頭部の高さ+若干のクリアランスを見込むのが一般的です。

浅ざぐり(座面出し・面取り的な用途)

鋳物や鍛造品など、表面が平滑でない部品にボルトを締結する際、ボルト頭部やナットが当たる面(座面)だけを浅く削って平面を出すのが浅ざぐりです。座面全体が均一に当たらないと、締め付け力が偏ったり、緩みの原因になったりするため、粗材の表面精度が低い箇所では浅ざぐりを指示することがあります。深ざぐりほどの深さは不要で、座面として機能する最小限の深さ・平面度を確保することが目的です。

深ざぐりと浅ざぐりは目的が異なるため、図面には「何のためのざぐりか」が伝わるよう、深さの数値や参照する部品(使用するボルトの種類など)を併記すると誤加工を防げます。座面や深ざぐり寸法の具体的な設計値は、当サイトのざぐり寸法計算ツールで概算を確認できます。

JIS B 0122のざぐり記号について

図面上でざぐり指示を簡潔に表すために、JIS B 0122で定められた加工方法記号(座ぐり記号「⌴」など)を用いる方法があります。記号を使うことで、注記文を書かずに穴径・ざぐり径・深さをコンパクトに図示できるのがメリットです。

ただし、記号の正確な描き方・寸法の記入順序・深さ記号との組み合わせ方は規格によって細かく定められています。誤った描き方をすると加工現場での解釈違いにつながるため、記号を使用する際はJIS B 0122の原文、または社内図面作成基準に沿って正しい書式で記入してください。記号表記に不慣れな場合は、無理に記号を使わず、注記文で「φ◯ざぐり深さ◯」のように明示する方が安全な場合もあります。

位置度とバカ穴径の関係

バカ穴を複数個所組み合わせて部品同士を締結する場合、各穴の「位置度公差」とバカ穴の等級(すきま量)は密接に関係します。位置度公差が緩い(穴位置のばらつきが大きい)設計であるほど、そのばらつきを吸収するために、バカ穴側にある程度大きめのすきまを持たせる必要があります。逆に、バカ穴のすきまが小さい等級を選ぶ場合は、穴位置の位置度公差を厳しく管理しなければ、ボルトが穴に入らない・組み合わない、といった不具合につながります。

つまり、バカ穴の等級選定は単独で決めるものではなく、相手部品の穴位置公差や、締結点数、組立工程での調整余地とセットで検討すべき項目です。設計段階でこれらを整合させておくことで、量産時の組立不良を未然に防げます。バカ穴径の目安を素早く確認したいときは、当サイトのバカ穴径計算ツールもあわせてご活用ください。

本記事は一般的な目安です。実際の設計・加工判断は自社基準・図面指示・JIS規格原文をご確認ください。

最終更新日: 2026年7月9日

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